****************************************************************** 薬剤師だから知っている。3分間の薬と健康の裏情報・臨時号2004.12.13 ****************************************************************** ――――――――――――――――――――――――――――――――― 臨時号 【1】訂正とお詫び      【2】血液製剤「フィブリノゲン」でC型肝炎の危険 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 【1】訂正とお詫び 12月10日発行の37号「DNA鑑定とは?」の内容に誤りがありました。  お詫びして訂正させていただきます。  「3.めぐみさんの場合に関して」の(4)に、・・・・・    (4)そして、その2つのDNAは、どちらもめぐみさんのご両親のDN       Aの特徴とは違った特徴を持ってたのです。つまり、この骨は、       めぐみさんのものではないという結論になったのです。 と書きましたが、めぐみさんの骨の鑑定は、ご両親のDNAと比較したのでは  なく、ご両親が保管しておられためぐみさんの「へその緒」から検出したDN  Aと比較して、その骨がめぐみさんのものであるかを鑑定したとのことです。  以上、お詫びして訂正させていただきます。 【2】血液製剤「フィブリノゲン」でC型肝炎の危険      数日来の新聞各紙に、血液製剤「フィブリノゲン」で約1万人がC型肝炎    ウイルスに感染したとされる記事が載りました。    この件に関してお伝えいたします。    1.フィブリノゲンとは (1)血液は、血管の中を流れて(循環して)います。もし、血管の中        を流れている血液が固まってしまったとしたら大変です。固まっ        た血液が、脳の細い血管で詰まって塞(ふさ)いでしまったのが        脳梗塞(のうこうそく)であり、心臓の血管を塞いでしまったの        が心筋梗塞(しんきんこうそく)です。     (2)ですから、私たちの血管の構造は、血管内の血液が固まらないよ        うな構造を備えています。     (3)しかし、血管が何らかの理由で破れて出血した場合は、血液が固        まらなかったら大変です。ずっと出血したままでは、血が失われ        て死んでしまいます。     (4)それで、出血が起きると、瞬時に破れた血管の穴を塞いで、出血        を止める機能が備わっています。これを血液凝固と言います。     (5)血液凝固のプロセス         A.血管が破れると、そのことが神経細胞に伝わり、血管を収           縮させることで、破れた血管内を流れる血液の量を少なく           して、出血量を減らします。         B.破れた血管部分に血小板(けっしょうばん)がくっついて           (粘着して)傷口に貼り付きます。         C.それと同時進行で、血液凝固が起こります。血液凝固の起           きるプロセスは複雑ですが、一次止血、二次止血と言われ           るプロセスを経て、最終的には、フィブリノゲンがフィブ           リンという物質に(化学)変化することにより止血は完了           します。 フィブリンは、網目状の構造をしていて、その網に、Bで 貼り付いた血小板と赤血球とを挟み込んで、いわば傷口を           塞ぐシートを作り傷口を覆うことで止血します。     (補)早く血を止めるべきなのに、一次止血、二次止血などというプロ        セスを経て、フィブリノゲンがフィブリンという物質に(化学)        変化させている理由         A.血液凝固を早くするには、直接的にフィブリノゲンをフィ           ブリンに(化学)変化させるよりも、複雑なプロセスを経           た方が早いからです。         B.「複雑なプロセスを経た方が早い」という不思議な現象を           担っているのが酵素です。酵素については、12月3日発           行の36号「そもそも『コエンザイムQ10』って何?」           の中でもお伝えしましたが、酵素とは、・・・・              a)化学反応がスムーズに行われるように手助けし                てくれているのが酵素です。              b)そして、酵素の働き方は、触媒作用と言う形で                働きます。触媒とは、その物質自体は(化学)                変化しないが、(化学)反応の速度を早くして                くれる物質のことです。              c)つまり、酵素は、・・・                 イ)触媒として働く。触媒とは、ある反応を                   速めるが、自分自身は変化を受けません。                   だから、 何回も何回も使えます。                 ロ)しかも、ごく少量で良い C.この酵素が働いてくれる結果、「複雑なプロセスを経た方           が早い」という不思議な結果か起こるのです。     (補)血液凝固因子は、(発見された順番に)第1~第13因子まであ        ります。このうち、第8因子もしくは第9因子が欠乏している場        合が血友病という病気です。   2.過去に血液製剤フィブリノゲンが病気の治療に使われた(投与された)     ケース     (1)血液製剤とは、献血等で得た血液を原料として作った医薬品のこ        とです。     (2)そして、血液製剤フィブリノゲンが病気の治療に使われた(投与        された)のは、生まれながらに(先天的)フィブリノゲンが少な        い人や、その働きが弱い人です(この病名を先天性低フィブリノ        ゲン血症と言います)。 しかし、先天性低フィブリノゲン血症の人だけでなく、次のよう        な場合も頻繁に使われていた時期がありました。             A.妊娠中または出産の時に大量出血をした時         B.大量出血を伴うような手術の時         C.食道静脈瘤(りう)の破裂や、消化器疾患や、大けがなど           で、大量の出血をした時         D.癌、白血病、肝臓病などで、「血が止まりにくい」と診断           された時         E.次のいずれかの影響で血が止まりにくい部分の治療を受け           た時            a)腎結石または胆石除去をした時            b)気胸で胸膜接着の起こした人            c)骨折した際、その折れた骨の影響で血が止まりにく              いとされた人  3.先天性低フィブリノゲン血症の患者さんだけでなく、上のA~Eの場合で    も、血液製剤フィブリノゲンが頻繁に使用されていたのは1980年代の    後半頃までです。しかし、当時、C型肝炎に感染するケースが続発して、    血液製剤フィブリノゲンを製造販売していた製薬会社の旧ミドリ十字は、    (多分、旧厚生省の指導で)、フィブリノゲンの使用(投与)を、どうし    ても必要な患者さんだけにするように求める「緊急安全宣言」を出しまし    た(1988年のことです)。    「緊急安全宣言」とは、平たく言えば、「この薬は『やばい』可能性が高    いから極力使わないでね」というものです。    その結果、それ以降は、フィブリノゲンが使われる(投与される)ことは    激減しました。 4.もし、血液製剤フィブリノゲンがC型肝炎ウイルスに汚染されていたとし    ても、ウイルスを殺してしまう技術(不活性化技術)があります。その    不活性化技術が血液製剤フィブリノゲンの製造に導入されたのは1994    年です。ですから、それ以前に、3の項目に書いたA~Eの症状で、血液    製剤フィブリノゲンを投与された方は、C型肝炎ウイルスに感染している    可能性があります。  5.C型肝炎ウイルスに感染すると、感染者の70%前後が持続感染者(キャ    リア)になってしまいます。持続感染者とは、C型肝炎ウイルスが体外に    排除されることなく、ずっと体内に存在する状態のことです。 6.そして、ウイルスは、少しずつ肝細胞を破壊していきます。その結果、    持続感染者の3分の2程度は、慢性肝炎になってしまいます。    しかも、慢性肝炎になっても自覚症状がないと言う人が大半です。この慢    性肝炎をそのまま放置しておくと、20年から30年後には、肝硬変や、    肝臓癌に進行してしまう方も少なくないのです。  7.C型肝炎ウイルスに感染してしまった場合の治療のポイントは、早期発見    ・早期治療です。ウイルスを肝臓から追い出す治療や、ウイルスによる肝   細胞破壊のスピードを遅らせる治療法が現代医学では有効とされていま    す。  8.したがって、フィブリノゲンが納入された医療機関(病院・医院)の名前    を公開して、もし、自分がその医療機関にかかったことがあり、2に書い    たAからEまでの症状だったとしたら、フィブリノゲンが使われた可能性    があると思われるので、C型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを早く    調べて、もし感染していたとしたら、早期に治療すべきだということが言    えると思います。  9.しかし、厚生労働省は、「医療機関の正当な利益を害する恐れ」があると    いう理由で、長い間、フィブリノゲンが納入された医療機関名の公表を拒    否してきました。  10.公表が遅れた結果、フィブリノゲンを投与された患者の把握と、一人ひと    りへの検査の呼びかけをすることは難しくなってしまったようです。    時間がたってしまったことにより、カルテなどを一部でも保管している医    療機関は全体の7%たげになってしまっているとのことです。  11.フィブリノゲンが納入された医療機関名は、厚生労働省のHPで確認する    事が出来ます。http://www.mhlw.go.jp/の「緊急情報」の項目を ご覧下さい。 問い合わせ・相談窓口は、厚生労働省の「医薬食品局フィブリノゲン製剤 納入先公表チーム」で、電話は03-3595-2297(専用)です。    命にかかわるかもしれないことですので、もし、思い当たるふしのある方    は、問い合わせをしてください。  12.最後に。    C型肝炎は、現代医学の治療でも、なかなかやっかいな病気です。現代医    学的な治療に、漢方治療を併用するという方法も、一つの選択肢としてあ    ると思います。もし、漢方治療の併用をお考えの方がいらっしゃいました    ら、当店でもご相談に応じておりますことを申し添えておきます。 当店の相談電話番号055-987-9866(11時~18時。日曜日    は定休日です) 以上、臨時号として、 【1】訂正とお詫び。 【2】血液製剤「フィブリノゲ ン」でC型肝炎の危険 についてお伝えしました。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ***************************************************************** 当メルマガ 薬剤師だから知っている。3分間の薬と健康の裏情報の目次 ☆過去に発行済みの内容です。 発行済みのメルマガは、当店ホームページからご覧頂けます(一部を除く)。     ↓ ↓ ↓ ↓ http://www3.ocn.ne.jp/~kenkodo/m-magazine.html 創刊号 リノール酸は、猛毒の油に変身する!! 2号 抗ガン剤。効く癌・効かない癌 3号 絶対にウソを付くような人ではない友人の勧めで買ったその商品。    でも、知らないうちに貴方は騙されているのかも!! 4号 「イワシの頭も信心から」。鰯は「どうでも良い物」の代表のよう    に言われますが、そんな鰯からアトピー・慢性湿疹の薬が出来まし    た!新発想が生み出した副作用の非常に少ない薬です。 5号 女性の髪は若さのシンボル。男性にとってフサフサの髪は「女性に    もてる」必須アイテム。大○製薬のリ○ップなんか目じゃない、男    性にも女性にも効く育毛剤があった!! 6号 太りにくく痩せやすい体質の作り方 7号 沖縄の長寿は、遺伝か環境か? 8号 高血圧の話し。3回シリーズの第1回目 9号 高血圧の話し。3回シリーズの第2回目 10号 高血圧の話し。3回シリーズの第3回目 11号 「身体のしくみ」━わかりやすさを最優先した場合、こんな内容     になります(厳密に言うと間違がった表現がありますが)。 12号 梅雨時は物が腐りやすい。我々の身体の中でも「腐る」という現     象が起きます。活性酸素の話。3回シリーズの1回目 13号 梅雨時は物が腐りやすい。我々の身体の中でも「腐る」という現     象が起きます。活性酸素の話。3回シリーズの2回目 14号 梅雨時は物が腐りやすい。我々の身体の中でも「腐る」という現     象が起きます。活性酸素の話。3回シリーズの3回目 15号 医食同源「クスリ」になる身近な食べ物/柿・ゴマ・ダイコン 16号 薬と食べ物の危険な「食べ合わせ」その1/解熱鎮痛剤とあんこ ★緊急報告「『にがり』取りすぎ健康被害の恐れ」 17号 薬と食べ物の危険な「食べ合わせ」その2/便秘薬と牛乳 18号 「葛根湯医者」はヤブ医者?それとも名医? 「葛根湯医者」に     学ぶ漢方のカゼ薬の上手な使い方。 19号 顔の汗を、即効で、引かせる方法 20号 【1】食品別、食中毒を起こさないための注意点      第1回 ハム・ソーセージ・自家製野菜などのビン詰め・な             れ寿司(魚を使って発酵させた保存食品)     【2】当店を訪れたお客様の話シリーズ。     第1回「臭わないにこしたことはない?」 21号 【1】食品別、食中毒を起こさないための注意点   第2回「牛肉・サラダ・和えもの・漬け物」 【2】「やせた男性は、ガンに注意」という記事が8月12日の日経新       聞に載りました。「疫学調査」の結果だそうです。       「疫学調査」って何? 疫病つまり伝染病の調査? 22号 【1】「寝る子(供)は育つ」、「寝る大人は美肌になる」     【2】ダイエットを科学する。「視線釘付け!魅力アップと華麗なる変 身をするためのダイエットの基礎知識」     4回シリーズの1回目-「『体脂肪率』の本当の意味」 23号 【1】薬と食べ物の危険な「食べ合わせ」           その3/風邪薬・解熱鎮痛薬と、アルコール(お酒)     【2】イボ痔又はキレ痔の方は必見-漢方薬で痔を治す方法 4回シリーズの一回目 「漢方の痔の飲み薬「レンシン」は、『どのような症状            だったら、早く効くか?良く効くか?』」 24号 【1】薬と食べ物の危険な「食べ合わせ」          その4/コーヒー・紅茶・日本茶と喘息の薬他     【2】ダイエットを科学する。「視線釘付け!魅力アップと華麗なる変 身をするためのダイエットの基礎知識」     4回シリーズの2回目         「寝る前の体重と、朝起き抜けの体重との差の意味するもの」 25号 【1】知ってて欲しい、「エイズ」の正しい基礎知識-第1回目     【2】イボ痔又はキレ痔の方は必見-漢方薬で痔を治す方法        4回シリーズの2回目         「『やったーっ! お尻スッキリ! 気分もスッキリ!』と         いう方のお話」 26号 【1】知ってて欲しい、「エイズ」の正しい基礎知識-第2回目     【2】ダイエットを科学する。「視線釘付け!魅力アップと華麗なる 変身をするためのダイエットの基礎知識」     4回シリーズの3回目         「マイク○ダ○エットの、より効果的な使い方」 27号 【1】知ってて欲しい、「エイズ」の正しい基礎知識-第3回目     【2】「イボ痔又はキレ痔の方は必見-漢方薬で痔を治す方法」       4回シリーズの3回目         「『激しい痛み』プラス『ひどい出血』という状態でも、          飲み薬『レンシン』は有効か?」 28号 【1】今話題のコエンザイムQ10。多種類が販売されています。 選択のポイントは何?     【2】ダイエットを科学する。「視線釘付け!魅力アップと華麗なる 変身をするためのダイエットの基礎知識」     4回シリーズの4回目         「痩せやすく、太りにくい体質を手に入れる方法」 29号 【1】糖尿病4回シリーズの第1回「糖尿病とは」     【2】「イボ痔又はキレ痔の方は必見-漢方薬で痔を治す方法」       4回シリーズの4回目 「便器が真っ赤になる!」そんなひどい症状の場合でも           レンシンは有効か? 30号 【1】今話題のコエンザイムQ10の働き         (1)コエンザイムQ10と老化         (2)コエンザイムQ10と美容     【2】糖尿病4回シリーズの第2回「糖尿病は、何故恐い?」 31号  糖尿病4回シリーズの第3回       「糖尿病は遺伝する-身内に糖尿病の人がいる方は要注意」 32号 【1】コエンザイムQ10の「効用」/その1回目     【2】糖尿病4回シリーズの最終回「糖尿病にならないための日常生活」 33号 「食物繊維の話-全く違う働きのある2種類の食物繊維」        2回シリーズの1回目「食物繊維とは」 34号 「食物繊維の話-全く違う働きのある2種類の食物繊維」        2回シリーズの2回目「食物繊維の上手な取り方」 35号 【1】コエンザイムQ10の「効用」/「愛用者の声」     【2】糖尿病に関してのご質問に答えて。          HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)とは? 36号 【1】肝炎の種類と予防法     【2】コエンザイムQ10に関するご質問にお答えして、          そもそも「コエンザイムQ10」って何? 37号 DNA鑑定とは? 発行済みのメルマガは当店ホームページで公開中(一部を除く)です。     ↓ ↓ ↓ ↓ http://www3.ocn.ne.jp/~kenkodo/m-magazine.html ★今回の内容 臨時号 【1】訂正とお詫び 【2】血液製剤「フィブリノゲン」でC型肝炎の危険 38号以降も、続々と発行します! kenkodo@oregano.ocn.ne.jp ―[プロフィール]―――――――――――――――――[プロフィール]― ■長澤 昭(ながさわ あきら)1952年 静岡県生まれ 1980年に薬局を創業。 2000年、毎日新聞「アミューズ」に、「漢方薬に詳しい薬局」として、 全国わずか35店のうちの1店として取り上げられる。 2001年、約300の病名・症状別の「病気別漢方選薬システム}を完 成させる。 2002年、現在は、当店HPにて公開中 ――――――――――――――――――――――――――――――――― ------------------------------------------------------------- □登録/解除の方法      ↓ ↓ ↓ http://kenkodo.web.infoseek.co.jp/melmaga.html (E-Magazineからご購読の方はこのメルマガの一番下に解除フォーム有り) ------------------------------------------------------------- ――――――――――――――――――――――――――――――――― □注意・免責事項 ◎一般の方向けの内容なので、厳密な医学用語は使用していません。医学 的な専門性から考えた場合、妥当でない表現あると思いますが、なるべく 平易な表現を使用するようにしてあります。 ◎個別の健康相談を行うものではありません。 ◎体の状態は個人によって異なっています。現在治療中の方はかかりつけ  の主治医と相談をしてください。 ◎ご自分の責任の範囲でご利用ください。記載内容を利用し生じた結果に  ついて、当方では責任がとれませんのでご了承ください。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― ========================================================== 薬剤師だから知っている。3分間の薬と健康の裏情報 発行者:漢方の健康堂薬局  発行責任者:長澤昭 http://www3.ocn.ne.jp/~kenkodo/ E-mail: kenkodo@oregano.ocn.ne.jp 「薬剤師だから知っている。3分間の薬と健康の裏情報」の本文は、 著作権により保護されています。 ただ、個人的にお友達に転送することは自由です。その場合、この メルマガの一部だけを転送するのではなくて、全文を転送していた だけると、うれしいです。よろしければ、お知り合いの知人、友人 に教えてあげてくださいね(商用の場合を除く)。 転載の場合はご一報ください。 ==========================================================